ヨコの為に流した涙はきれいで
気持ちが揺らいだ…
そんな俺に追い討ちをかけるように
『ヨコの事…怒らんとったってな…ちょっと言葉足らずになってるだけやねん…それはお互い様やし』
キラキラした目で笑う
また俺は笑えんようになるんやろか…
『なんで?』
『何が?』
『俺が今から言おうとしてる事分かってんねんやろ…なんでそんな事言うん?』
『ごめん…でもすばるっ…私…』
『嫌や…』
『ちょっ…』
『いややぁー…』
離れてた体をまた引き寄せた
さっきとは違う
めちゃめちゃきつく…
の体が強ばる…
それでもすり抜ける事できたやろうに
俺を傷つけん様に
優しく抵抗する…
その優しさが今の俺には残酷やわ…
体を離して俺を突っぱねようとしてた両手を掴んで
首筋に唇を落としたら
『ひゃっ…ちょっとすばる?』
今度は優しさに包まれる事なく抵抗された
それはそれで傷つくもんなんやな…
どうせ傷つくなら
どうせ俺のもんにならへんのなら
いっそ…
をソファーに倒して またがった
『すばるー…やめようや…』
眉尻を下げて悲願する…
ごめん…
両手をおさえてまた首筋に唇をつけて今度は
きつく吸った
今まで我慢してた事
苦しかった事
少しは分かって?
いや…きっとは分かってくれてる…
分かってくれてるなら答えて?
俺はもう
笑えん様になんの?
なんか分からんけど
涙がこぼれた…
『私な…ここ出ようと思ってるねん…』
突然の告白にびっくりして唇を離した…
『はぁ?なんでー?いつー?』
体を起こしてを見たら意外にも笑顔で
泣いてる俺を見て…びっくりしてたけど
すぐ穏やかな顔に戻って私ら泣き虫やなって笑ってた
『仕事やめようと思ってて…うっちーの誕生日まではおるつもりやけど』
『意味が分からん!内の誕生日とお前の仕事とどう関係あんねん』
『ハハハ…関係ないよ。仕事は前から思っててん…悩んでる事があって…うっちーは…ほら…18才なってうちに泊まるん楽しみにしてるやん?裏切れんって言うか…』
『悩んでる事って…何?』
『そんなたいした事ちゃう…』
『もう決めたん?』
『うーん…うん…またヨコに怒られそう…勝手に決めるなって… 怒ってくれるかな…あの時みたいに…』
またの目からポロポロ涙がこぼれて…
でももう俺の事抱きしめたりせーへんよ…
だって俺…これ以上の温もり知ってしまったら…
『怒るで絶対!一人暮らし決めた時すごかったもんな…あいつ…頑なに拒否ってたし…』
それから俺らは昔の話をし始めた…
まるで今日の決心なんてなかったかのように…
『なあ??あの頃楽しかったな…』
『ん?』
『よー海行った夏…あれ確か…が一番に免許とって…初めての夏やったけ…』
あの頃はどこまでも遠くへいけるような気がしたよな…
親の車で夜出て…早く着きすぎた海でが言った…
『なんか夜ってなめちゃめちゃ不安になる時があんねん…』
『なにがなん?』
『信五には分からんよ…きっと…すばるは分かる?』
『俺?…分からんでもないけど…』
『やろ?なんかな…朝がこーへんような気がするって言うか…この辺がざわざわすんねん…』
手をグーにして胸の上に当ててる
の顔が思ってたよりも真剣やったから戸惑ったのは俺だけじゃなくて
すかさずヨコが
『大丈夫やで…ぜーったいに朝は来るねん…何があっても絶対にそれだけは大丈夫…』
そう言って頭の上に手を置いてた…
『あれホンマかな…今日は…ホンマに朝は来ん様な気がするわ…』
『来るよ…絶対…』
あの時何も言えんかったけど今なら言える朝はくる…
俺にとってきて欲しくない朝は否応無しにくる…
『…うん、ありがとう…』
その時玄関で音がして
もしかしたら俺にとって朝よりつらいものが先にきたんかもしれへんな…
ここに続くドアが開くまで後少し…
君の目を…
君の髪を…
君の指を…
君を…
君の全てを…
目に焼き付けた
―ガチャ―
20091214訂正