なんで…風邪っぴきの俺にそんな事言うねん…
俺が錦戸の実家で寝てたら錦戸の電話にヒナから電話がかかってきて…
錦戸の実家までの車で来た…
今とすばるが二人っきりやって事聞かされて
俺を焦らすような事を山ほど吐いて帰ろうとするから…
『お前どこ行くねん…』
『俺?俺はちょっと行かなアカンとこあるから…亮に連れて行ってもらって!』
なんやねん…こいつ…
錦戸もヒナが迎えにきてくれたもんやと思ってビックリしてたけど
『とにかくもっぺん戻りましょ!』
それ以上に焦ってて…
それにしても さ…寒い…
錦戸がさっきより熱があがってるからって俺に毛布を巻いてくれたけど
それでも寒い…
なんでこんな真夏に毛布に包まって震えるおっさんを抱えて
一生懸命走ってくれるねん…
ヒナはあんなに冷たかったのに…
頭がボーっとする中ですばるとの事よりもそっちの事ばっかり考えてた…
さっきもそうや…の家からトンボ帰りする事になって…
お前は残れって言ったのに俺の後ろずっとついてきてて…
アホみたいに長い商店街を歩いてたら急にフラーっとして…
ほしたら誰かが支えてくれた…
この匂い…誰やったけ…
『横山くん?横山くん大丈夫?』
気付いたらまたその匂いのするベッドの中にいてた…
『あー錦戸の匂いや…』
『…もういいですよ…』
『お前なんで花火見とかへんねん…』
『花火なんか好きやない…』
それから錦戸は黙ってしまって…
で、またこうして俺の緊急事態に必死に大通りでタクシーとめてる…
なんでこんな俺のためにそんなまでしてくれるねん…
よう考えたらこいつ…成長したよな…
初めの頃はこいつの憎たらしい表情や態度が気にくわんってすばるがよう言うてて
よう小さい事でくってかかってたっけ…
でもこいつ平気な顔して…
でもホンマは不安でしゃーなかったんやろな…
こいつそんなに強い奴じゃないねん…
薄目を開けて隣に座る錦戸を見たらあの頃みたいに泣きそうな顔して車の外を見てる…
それから30分もせんうちについて…
ドアの前に立った途端…
熱のだるさと緊張で喉から心臓出てまいそうやった
『横山くん…俺…絶対にがすばるくんの彼女になるなんて嫌ですからね。村上くんが言ってたみたいに俺だって我慢できませんよ。俺…横山くんの背中見て生きてるんです…横山くんが反れたら俺も一緒に反れますから…』
振り向いたら錦戸の目は俺の目をまっすぐ見てて
頭の中まで覗かれてるような気がして
目を逸らした
俺だって嫌や…
そして左胸の秒針をおさえて…
目を瞑って…
唾を飲み込んだ…」
約束はお互い守ろうや
ヒナの声が
頭の中でこだました…
よしっ
―ガチャ
20091214訂正