『何があったんか言わな分からんやろ…』



ずっとこの調子や…

舞台が千秋楽を迎えて楽しいはずの打ち上げで…

俺がトイレから出たらすばるがヨコに殴りかかってて

周りにとめられてた…

『何やってんねんっ』

とめに入ったら

『だってこいつ…』

すばるはめちゃめちゃ興奮してたけど肩をたたいてやると少しだけ落ち着いた

ヨコは壁にもたれて座ってて…

アカン…普段のこいつら知ってる人たちが今みたいな状況見たらびっくりするやろ…

舞台も大成功に終わってこれから俺らもっとやっていけるかなって時に…

社長の耳になんて入ったらえらい事や…

『すんませんでした』

これが俺の精一杯やった…

ほんで二人を連れて久し振りに実家に戻ったんやけど…

これや…

『…すばる?…ヨコ? …だからー黙ってたら分からんって…』

さっきから何も言いよらへん…

『お前らはこのままで良くても大倉も丸も安もお前らに不信感抱くぞ… そのうち亮と内の耳にも入ると思うし…お前ら二人がそんなんでこれから俺らどうして行くねん?しっかりしろ…』

でもこいつらだって俺が引っ張って来たわけじゃない…

自分の足で歩いて俺ん家来たわけやからこのままで良いと思ってるわけじゃないねん…






その時俺の携帯が鳴って…

俺は部屋を出た

『もしもし村上くん?亀梨ですけど』

『おう!亀か!お疲れ!どうした?どうした?あっさっきはごめんなー…気にせんとってな!』

『あ、 いえ…でもちょっと僕余計な事言っちゃったかなと思って…気になって…』

『余計な事?』

『はい。すばるくんと横山くんと話してる時に僕が横山くんに「彼女いてるんですか?」って聞いたんです…なんとなく聞いただけで…あんな風になるとは思わなかったんで…すいません…』

『でヨコなんて言ったん?』

『いてないーみたいな事を言って…それだけですばるくんが突然殴りかかって…なにかいけない事言っちゃったんですかね?僕…』

『いやちゃうよ…亀は悪ないよ…あつらの事は気にせんでいいから! またゆっくり飯でも行こなー!みんなにもよろしく!』

『あーハイ…おやすみなさい…』







そっか…そう言う事やったんか…

まーヨコもわざわざ真剣に答える事もないって思ったんやろし

でもすばるからしたら最近のヨコの態度見てて「彼女いてない」発言が余計に許せんかったんやろな…

でも俺らは立派な大人やぞ?一人の女取り合ってゴタゴタして周りに迷惑かけんなよ!

それから少しずつ二人は喋りだして…

ブスーっとしながらも二人を仲直りさせた…

でもあん時もっとちゃんと話合ってたら

もっとええ結果になったかもしれへんな…







『あっもしもし?ヨコ?』

『村上くん?…錦戸ですー』

『あれ?亮?ヨコは?』

『横山君今熱出して寝てますわー』

『熱ぅ?』

さっきまで元気やったのに…

『今俺の実家にいてるんですけどね、熱下げて花火には絶対行くって言ってるんで…』

『そうなんや…まー無理すんなって言っといてー!亮もあんまりくっついてんなよ!うつるで!』

『分かりました…あのーやけど…大丈夫かな?連絡するなって言われたんです』

『フフ言うやろなーの事は俺に任せて…ヨコの事頼むわ…』

熱…か…めずらしいなー…

ここんとこちょっとバタバタしてたもんな…

でもよりによって…なんで…花火の日に…

しかも…今日は…





さて…任せてと言ったものの…ん家行くのんまだ時間かかるし…

誰かに探り入れるかー…

丸は…アカンなーすぐにバレるやろし

大倉はー…あいつ今の状況分かってるようで分かってなさげやもんなー…

内…に言うたら完全にだだ洩れやろうからなー…

残りは安か…そやな…安がえーわ…



『もしもーし!村上くんー?』

『しーっ』

『え?何なん?』

いてる?』

ちゃん?呼ぼっか?ちゃーん』

『あっうわっちょー待てー』

安… 失敗やったか…

そや なんか適当に誤魔化さな…

『なんか買いモン忘れてないか聞いて?』

『ちょっと待ってーなー 村上くんがなんか要るモンないか?ってー』

受話器に口近付けたまま大声で喋んなや…

『ないってー』

『あ、そう…なーやねんけど今日機嫌どない?』

ちゃんの機嫌?いつもと変わらんよ』

『そっか…今何してるん?』

『今はーメール打って…すばるくんと喋ってるで! あそや…今日なちゃん浴衣着てへんねん…』



『村上くん?どうかしたん?』

『あ…いや 今日な…』




― バンッ バンッ ―

『試し打ちやっ!ほんならまた後で!』

プツ…  プープープー

う…あの役立たずが…

試し打ちか…

でも俺にはその乾いた音が何かの始まりを告げる合図に聞こえて…

20091214訂正

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