友達に花火が好きやって言うたら
『そんなん夏休みに好きな子になかなか会えん中学生の発想や』
って言われた
…確かにそうかもしれん
高2の夏4人で花火大会に行ってから今年で7回目…
そっかーもうそんなに一緒にいてるんやな…
でも…今年は…
『ちゃん…今年は浴衣着ーへんのん?』
『うん…』
毎年浴衣を着たら
『きれーきれー』って大袈裟な程褒めちぎってくれるすばる…
興味ないながらもニコニコしながら『えーやん』と言ってくれる信五…
すばるとはしゃぐ私に
『お前下駄はいてるねんからあんまり走ったらこけるぞ』とか
『髪の毛上げたら首プニプニなん丸出しや』とか
不機嫌になるヨコ…
それでも一つだけ楽しみな事
すばるも信五も…最近ではみんなも花火の時は夢中になるから
気付かれんようにそっと手を繋いでくれる
恥ずかしがるから顔は見ーへんけど
多分真っ赤な顔してるんやろなー
その汗ばんだ手のひらから伝わってくるヨコの精一杯が嬉しくて
本当に嬉しくて
『なんでなん?楽しみにしてたのにー!』
『ほんまやー!』
『うーん…もうそんな年じゃないかなーと思って』
『えー!!まだ22才やーん!』
すばるがこっちをチラっと見たけどまたすぐにテレビに目をやった
私が浴衣を着ても
髪の毛をきれいに結っても
ヨコに文句言われるなら意味がない
ヨコ…今年はヨコの嫌いな浴衣着てへんで
ヨコの嫌がる事はせんから…
だから今年も一緒に花火見て
ドキドキしながら手握ってくれるんよな?
『ちゃーん』
お祭り仕様に前髪を結んだやっさんが携帯耳にあてたままベランダから呼んでる
『村上くんがなんか要るモンないか?ってー』
良かった…信五来てくれるんや…
『ないない!ありがとーって言うといてー!』
やっさんが目じりにしわを寄せて指でOKをした
ンフフ…やっさんかわいいなー
それにしてもヨコ…どうしたんかな…
メールの問い合わせをしてみたけどヨコからの連絡はなくて…
『亮ちゃんも遅いなー…夕方には来るって言ってたのに…』
『亮の心配よりヨコの心配しろよ…』
晩ご飯の支度をしようとキッチンに入って一人でブツブツ言いつつ亮ちゃんにメールを打ったら
すばるが入ってきて冷蔵庫を開けてそう言われた…
『なんで今日浴衣来てへんねん…』
『だからもうキツイ年齢になってき…』
『ホンマの事言ってみ?』
『何ー?ホンマの事って…』
『俺が浴衣好きやから?』
ちゃう…ヨコが浴衣嫌いやから…やで…すばる…
『ちゃうちゃう…』
『じゃーなんで…』
― バンッ バンッ ―
あっ…
『ちゃん試し打ち始まったでー!!』
『ハハハ!試し打ちだけであんなにウキウキできるあの子らもめでたいなー』
すばると目を合わせずそう言ってみんなの元へ行った
多分すばるはまだ何か言いたい事があったんやろうけど…
ビールを喉に流し込んでる…
ごめんな…すばる…
すばるのせいじゃないねん…
あれからすばるとの距離も微妙で…
別に意識してるわけじゃないのにタイミングが悪くて誤解招いてるんやろうな…
今日浴衣を着てない事も自分のせいやと思ってる…
ベランダでやっさんとうっちー、丸、たっちょんが盛り上がってた
乾いた空気に煙が上って
火薬の匂い
物足りひん打ち上げ音
花火大会が夏で良かった
あんなに暗くなるのが待ち遠しかった去年までとは違う…
まだ待ってな…
勇気出して電話してみるから
もう少し暗くなるのは待ってな…
絶対来るから!だって花火大好きやねんから!
20091214再