遅いな…
信五め…!
うっちーから『今日はみんな帰られへんねん』
って電話があったから今日はゆっくりしようと思ってたのに…
そのちょっと後の信五からの電話で
『今から行くから…めっちゃ腹減ってんねん…なんか用意しといて』
って言われて晩ご飯の支度をして待ってんのに…
今から行くゆうてどんだけ経ってんねやー…
3…時間は経ってるな…
―ピンポーン―
あっ信五やっ!
『おかえりっ!』
『…たっただいま…?』
なんやこれ…
めちゃ待ちどおしかったみたいやんか…
勢い良く出てしまったものの
収拾がつかんその事態に信五からの言葉が出るまでひきつった笑顔を続けた…
『な…何やねん?退屈やったんか?』
『え?だって遅いねんもん…』
何時間待たせんねん…
『ごめんごめん…でも新幹線は最高速度出してくれてんけどな』
は?
『なっ?なん?新幹線?どこにおったんよ?』
『東京やで』
『明日朝から仕事なん?』
『いや…夕方やで…』
信五は奥に入ってTシャツと短パンにはきかえて戻ってきた…
『お前さー一人でおんのん嫌なん?なんで俺帰ってくるんがそんなに待ち遠しいわけ?』
『いや…そう言うわけやなくて来るって分かってんのん待ってるわけやしってか大体東京から来るねんやったらそう言ってくれたらえーやんか!』
そう言ったけど…正直最近ちょっと一人が寂しかった…
大阪での舞台やCD発売に向けてみんながそれぞれ忙しかったから
だいたい誰か覗きに来てくれるけど…一人で過ごすことが増えた…
ヨコは基本的にはここでの生活をしてるけど何かしら理由をつけて実家に戻る…
それでも初めのうちは連絡があった
【今日は実家に帰るわ】
ぶっきらぼうなメールやったけどまだ良かった
そのうち連絡なく帰って来ん様になって…
なんかめちゃ嫌や…
こんな毎日…
ヨコがいてないのが嫌なわけじゃない…
だってヨコにはヨコの生活があるわけやし
そら寂しいけど
そもそもみんなに依存してる自分が嫌で始めた一人暮らしに
誰かがいてくれな寂しい自分…
『そんなもんやってー』
信五がいただきますと手を合わせながら言う…
おいしそうにがっつく信五に思わず笑みがこぼれてしまった…
はたから見たら新婚に見えへん事もないやろな…私ら
信五が旦那とか…
…
プーーー
『何笑ろとんねん』
『あ、いや…』
『信五って意外と暇やねんなー…』
『え?なんで?』
『だって明日夕方からなんやったら朝帰ってきたらええんちゃうん?それに何も誰もいてへんのにここ来んでも…そういや信五も彼女あんまりできひんよなー…』
食べてる手をとめてこっちを見る…
ちょっと不機嫌な顔をして…
『大体お前一人暮らしするって言った時親には頼りたないとか言ってたけどそれだけじゃないやろ?』
『話変わるなー…うーん…まー…でも自立したいと思ったのは事実や』
『分かってる…でもな自立できてる?』
信五は私を説教するときいつもこんな顔をする…
みんなといてる時と全然違う…
だから…ほら…
『なんで…?』
私信五に甘えてしまう…
分かってるのに聞いてしまう…
『分かってるんやろ?』
『分からん…』
『ヨコお前一人暮らしするって言った時めっちゃ怒ってたやろ?あれ心配でしゃーなかってんで…』
『分かってるよ…』
『いや、お前が思ってる以上に心配してんねんで?実際今日かって…俺は明日帰るー言うてんのにがひとりになるからー帰ったってー言うたんヨコやし…』
それなら…ヨコがそばにいてくれたらええのに…
『大迷惑やで…俺だって彼女の一人や二人くらい…』
『ごめん…いや、でもな…大丈夫やで?一人でも…だって…』
『うん…でもな誰かが心配してるって事はな…自立できてへんって言うか…結局心の支えになってもらってるってわけやん?じゃー自立してる人間がまるっぽ誰にも支えられてへんかっちゅーたら…そうじゃないねんけど支えてくれる人間がいてるのに自立する必要もなかったんちゃう?それと…すばるの事…もう知ってんねんやろ?すばるから聞いたんやろ?』
『え?すばるの事?すばるが私を好きとか?そう言うのん?』
『そや…』
『ちゃっ…聞いたけどそれは関係ないやん?』
『どんな風に聞いたん?』
『…ほら…手紙…手紙の事覚えてる?』
『手紙…』
『卒業式の後に書いた手紙!』
『あっ!忘れてた!どうしたん?あれ?もう出したん?』
『うん…あの手紙ほり出した後…突然すばるがな…』
手紙をほり出した後突然すばるが…
『ちょっ…すばる?』
私の思考回路と同時に空気がとまった…
なに…してんの?
『過去の話じゃなかったらどうする?』
気がついたらすばるの腕の中にいてて…
耳元でそう囁くすばるに心臓の音を聞かれるのが嫌で
離れようとしたら…
『ちょっとだけでいいから…こうしてて…?』
『すばる…』
『お願い…』
すばるの擦れた声が切なくてギュっと目を瞑った…
すばるの気持ちはの憶測や
信五の言葉の節々や
ヨコの態度で気付いてた
好きです
好きでした
手紙はたったそれだけやったけど
くせのあるすばるの字は昔からなんやと知って
もしかしたら私は逆にすばるの事何も知らんのじゃないかと思って…
妙に切なくなった…
どれぐらいそうしてたんやろ…
華奢やと思ってたすばるの腕の中は暖かくて
きついなーと思ってた香水の匂いは心地よくて
初めて知るすばるにドキドキして…
『すばるって細いなぁ…』
『ヨコと比べんとってや…』
わざとすばるの嫌がりそうな言葉を言って離れようとしたら
『もうちょっとだけ…このままで話聞いて?』
信五の真剣も苦手やけどすばるの真剣はもっと苦手や…
『俺なの事好きやねん…』
聞きたく…なかったな…
『信五ー私、聞きたく…なかったな…』
『でもお前は真剣にうけとめてくれたんよな?』
『当たり前やん…すばるの本気か本気じゃないかくらいすぐ分かる…』
そんなん当たり前やんか!!
本気って分かるから余計に…
切ない…
いつもみたいに冗談やーって笑ってほしかった…
でも…
すばるは真剣な顔をしたまま…
私にキスをした…
20091214再