『ありがとう!助かったー昼ご飯どっか食べに行こかー?』

2002年3月



今日は引っ越し 私の記念すべき一人暮らしの初日!

お天気で良かったー

信五とすばるが手伝ってくれたし荷物もそんななかったから昼過ぎには終わった…

でもやっぱり私一人じゃできひんかったな…

結局ヨコは私の一人暮らし許してくれんかった…

親でも了解してくれたのに…



『強行突破やなーえーんか?』

『えーねん…関係ない…それよりすばるご飯食べに行くやろ?』

『行く行く行く行くー』

『めーっちゃきれいやなー…』

ベランダで信五が外を眺めて言う…すばるも出て行って

『この河川敷って夏花火大会あるんちゃうん?』

『そやでー』



だから選んでん

『めっちゃえーやん…丸見えやん!特等席やん!』

『まー祭気分は味わえんけどなー…』

『楽しみやなー!!』






それから「引越し言うたらソバやでーソ・バー!!!」絶叫するすばると

「ベタやなー」と言う信五と一緒に

ちょっと遅い昼ごはんを食べて二人は帰って行った
















ふー…一人になったらやっぱ広いなー…

家賃はそんなに高くはない…

お風呂とトイレは別やし大きなリビングに6畳の部屋が二つ…

まだなーんもない…

いろいろ揃えやんと…

それから片付けに専念してて



―ピンポーン 宅急便でーす―



気付いたら夕方になってた

あれ?なんやろー?

大きな段ボールが二つ…

『横…や…ま、ヨコからや!』

それにはヨコの服やら靴がぎっしりと詰まっていた…

なに…これっ…

…電話…電話しよ…




『何?』

『何はこっちのセリフや!何なん?あの荷物』

『5分程待っとけ』

一方的に電話を切られた







それからヨコはブスーっとした顔でやってきて

一通り部屋を見渡したら最後にベランダからの景色を見た

気付かんかったけどベランダから見える夕日がめっちゃきれいで

河川敷には犬の散歩をする人や部活が終わって重たそうな荷物をかかえたにぎやかな高校生が少し暗くうつった

あきらかにそことは違う空気が流れている私の部屋で

それをみつめるヨコはいとも簡単にその赤に染められて

ふーっとため息をついたかと思うとまた不機嫌な顔に戻って振り返った

そして買ったばっかりのソファーに寝転んで

『飲むモンちょーだい』

『…ちょっと待ってーな…あの荷物何なん?』

『何て、引っ越しの荷物やん』

はぁ?

『俺も今日からここに住むから』

『待って待って待って待って…なんで?』

『何回言うねん…とりあえず何でもいいから水分をくれ…』

話を途中で終わらせたくなかったけど口が気持ち悪そうにしてるから

キッチンに入ってダンボールの中から適当にとった緑のマグカップにお茶を入れた

ヨコはガブガブ飲み込んで

『なんで冷えてへんねん』

『あ…ごめん…さっき入れたばっかりやし…ってそんな事より一緒に住むってどう言う事よ!』

『 …俺…考えてん…一人暮らしするのは断固反対や!』

『だけどもうっ…』

『だからやっ!最後まで聞けアホ…だから一緒に暮らしたら一人暮らしちゃうやろ…だから今日から俺もここに住む。こっから仕事にも行く。一緒に暮らしたる』

『でも…事務所に…』

『バレへんようにする』

『毎日一緒?』

『そや!毎日や…なんやねん嫌なんかっ…』

『ごめんな…我がままばっかり言うて結局気使わせて…』

『何がやねん…何もお前は我がままなんか言うてへんやんけ…気なんか使ってへんしただ俺がしてたいだけの話や…』

逆光のせいで私を見てるのか見てないのか分からんかった



『こっち…おいで』

それは特別優しい声で

ヨコはソファーに座って私を後ろから抱きしめた…

ヨコ…この時言ったよな?

『ずっと一緒にいたいねん 誰にもとられたくないねん ただそれだけやねん』って…

私なそんなに深く考えてへんかった

でもヨコその時から何もかも分かってたんやな…

今頃気付いても遅いけどそんなヨコに愛されてた自分はホンマに幸せ者やったなって思うよ


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20091214再