『おい…ヤス』

両眉を下げてわざと目を合わせず話す

そう言う顔をする亮があの頃苦手やった…

亮がこんな事言うのは初めてじゃない

…様子おかしないか?』

またや…

でも亮は俺に聞くだけで…

これは俺に聞いて来いって事なんかな?

俺にはいつもと同じ様に見えたし

どうする事もできひんから

『そうかな?』

それしかなかった…

でも亮のあの顔を真剣に受け入れれるくらいもうちょっと俺が大人やったら…

2004年春








舞台も千秋楽を迎えてスタッフや共演者との打ち上げの時やった

俺は丸と大倉が意味の分からん大食い競争とやらをしてるんの審判をさせられてた

丸は少し酔ってて

気持ち悪いー気持ち悪いー言うてた…

『もうやめといたら?』背中をさすってそう言った時

『―んやろっ』   ドサッ

絶叫とも言える声と鈍い音が聞こえた

びっくりして音のする方を振り返ったら

亀梨に押さえられたすばるくんと回りのイスや机を道連れに倒れこんだ横山くんが目に入った…

え…

一瞬今日までやってた舞台が重なってやけに冷静な俺を

『おまっ…見損なったわっ』

すばるくんが亀梨をふりきって再び横山くんに殴りかかった時現実にひき戻した

なんや?

周りのスタッフやKAT−TUNのメンバーがとめに入った時

ちょうどトイレから戻った村上くんが

『何やってんねんっ』と間に入ると

すばるくんは

『だってこいつ…』

と言うや否や

『分かった分かった』

村上くんに肩をポンポンと叩かれて

不服そうな顔をしてイスに座らされて…

村上くんは倒れこんで俯いたままの横山くんの様子を伺い

スタッフや共演者に向けて

『すんませんでした』と頭を下げた

その深々と責任のある村上くんの行動に大人の男を感じたんは俺だけやなかったと思う…




その日はさすがの内もちゃん家に行く気分にはなれへんかったみたいで

ダラダラと解散した

その次仕事で顔を合わせた時横山くんもすばるくんも普通やったから

ただ酔って絡んだだけやったんやと…思った…






それからしばらくして

亮がまた言ったんや

『なあヤスー今日顔険しない?』

また…か…

最近仕事持ち帰ってたりしてたから…そのせいちゃうかー?

一応ちゃんの様子を伺おうと顔を上げたら

内が俺らの間に割って入ってきて

『あれの日やで』

へへんといった表情で言い放った

でも確かに最近ちゃんは少し疲れてて

内を送った後そのままリビングのソファーで寝てしまう事もあった

『そう言えば最近横山くんあんまりここで見ーへんなー実家戻ってんのかなー?』

そうや…なんかおかしいと思っててん

だいたい俺らここに馴染み過ぎて

家主の彼氏がいてなくても平気で出入りしてた

通うようになった頃ちゃんが買ってくれた青い歯ブラシにスリッパ…マグカップ…

これは俺らにいつでもおいでなって言う合鍵のようなもんやと思ってて…

横山くんとちゃん…二人きりになる事なんかなかったんちゃうかな?

ちょっと申し訳なくなってちゃんを手伝おうとキッチンに入ったら

流し台に手をかけたままボーっとしてた…

その先にはコップホルダーがあって最近使われる事のないままの深い緑のマグカップがあって…

ちゃん?』

『ん?何?』

すぐに蛇口をひねり残りのコップを洗い始めた

『手伝うわ…』

『えーどないしたーん?めずらしい…』

良かった…笑ってくれた…

『いつも手伝おうと思ってるねんで!でもいつも内がいてるし…』

『そうなんや…でも今日昼から仕事やろ?えーよ…あたし久々休みやし…今日はうるさいのがおらん間に家の事いろいろしようと思ってるねん』

『ごめんなー…俺らが来るせいでやる事増やしてるなー…ちゃんだって最近仕事めっちゃ急がしそうやん…もし迷惑やったら俺ら少しは控えるし…』

最後の一つをコップホルダーにかけて

『なんでー迷惑なんて思ってへんよ…むしろ毎日楽しくて感謝してるで』

ホンマに?ホンマにそう思ってくれてるん?

村上くんはいずれ落ち着いたら話せると思うねんって言ってたけど

落ち着くってどういう事?

それまで俺らはどうにもできひんって事?

もし横山くんとの間に何かあるんやったら少しでも早く相談にのってあげて良い方向へ向かってほしいと思うんやけど…


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20091214再