2004年
そんな顔すんなや…
何があってん?
俺がに初めて会った時の事はもうはっきりとは覚えてない
しょっちゅう村上くん達と待ち合わせて遊びに行くの見掛けたしいつも話聞いてたし
初めて喋ったのは…確か…
村上くんが仕事終わったらご飯食べに連れてってくれるって言うからついて行った時やった
人見知りな俺に何も言わんと食べ物をとってくれたり飲み物を頼んでくれたりするその人は
早くに大人の世界を知ってしまって背伸びをする事で頑張ってるって思って…すれてた俺が
まだ16才やと言う事を思い出させる嫌な存在やった
私がやったげるで!何が飲みたい?
自分でできる!そう言って突っぱねた事もあった
その日はその人の就職が決まったお祝いやったみたいで
3人に祝われてるその人はホンマに嬉しそうで
短時間やったけど3人にとってその人が特別な存在って事もよー分かった
でも次に会った時は最悪やった
仕事の合間…俺の携帯に知らん電話番号…
いつもは出ーへんのになんとなく出たら
『もしもし?錦戸くん?やけど』
『…あーはいはい…』
『分かってくれた?ごめん…電話番号信五に勝手に聞いちゃった…』
『いや、いいですよ…で、なんか用ですか?』
『あ、そやねん…今日仕事終わったら暇かなー?』
『今日…?暇やけど…』
『ホンマに?ご飯食べに行こうや!三馬鹿も一緒やねん!あいつらには私から言うとくから!』
『ハイ分かりました』
ガチャンッ!!
『アカン!!!!!』
ファミレスのテーブルを叩いてすごい剣幕の横山くん
『だーかーらー大丈夫やって言ってるやんかっ』
負けじと目線をそらさず話すその人…
『何を根拠にそんな事言えるねん。だいたい今まで親元でヌクヌクしてた奴が突然新しい環境になるわ、新しい仕事始めるわって絶対無理や!絶対に許さん』
『ヨコの許可なんていらん!実家出て自立しようとしてるのになんで反対するんよ!』
『お前ら声デカいねんっ』
どうやらその人は一人暮らしを始めようとしてるみたいで
でも心配な横山くんが必死に反対してる
そっかーこの人横山くんの彼女なんや…
村上くんは二人をとめてて
すばるくんは空になったコップの底をずっとストローで吸ってた…
あれ…なんやろ…この雰囲気…気のせいかなー…
『分かるで…の気持ちもヨコの気持ちも…でもな…仕事し始めてちょっと落ち着いてからでもえーんちゃう?』
『アカンねん…アカンねん…とにかくもう部屋も決まってん。近々引っ越すから』
『はぁ?部屋が決まったやとぉ?ほんなら「一人暮らししていい?」やあれへんがな…「一人暮らしするからー」やんけ!!!許可やなくて報告やんけ!アカン言うてもするんやろがっ!』
横山くんがその人の真似をして言うたら
『そやっ!一人暮らしするからーアカン言うてもするから!!!』
自分の真似をした横山くんの真似をして反発する…
子供か…
アホらし…
『んもぅ腹立つわー!!!』
永遠と続くそれに村上くんももう何も言う事ないみたいで
沈黙が続いた…
『…横山くんは何が嫌なんすか?』
しまった…いらん事言うたやろか…でもこのままやったら終わらん様な気するし…
早く帰りたいし…いいや…続けたろ…
『仕事始めて生活変わる時やから一人暮らし始めるのにもいー機会かもしれへんですやん…何が心配なんか分からんけどもう社会人やし…合鍵もらっといたら安心でしょ…』
俺って生意気…こういうのが可愛くないんやろなー…
『ほんまや…』
すばるくんが発した言葉はその日それだけで…
『とにかく今日は亮おるしもう送っていかなアカン時間や…帰ろ…二人ともちょっと冷静になって考えろや』
あ…なるほど…村上くんの言葉で気付いた…
俺がいたらこの人にとって好都合やったんや…
その為に呼んだんか…
横山くんはものすごい怖い顔をして電車で帰ると言い出した
俺は一人で帰れるって言うたのに村上くんがその人に
『頼むで』と言ったから
俺はその人の車で送ってもらう事になった
『さっきはありがとう…んーでごめんなー…せっかく来てくれたのに…』
『いや別に…』
『なーんか疲れたわ…ヨコがさー心配してくれてるのは分かってるねん…でもな私地元におったら親だけじゃなくてヨコやすばる、信五にも甘えてしまうねん甘えれる人がなーいてるって事は甘えたらいいって事やと思うねんけど…』
信号でとまった時運転してるその人の横顔をチラっと見たら…
さっきまで横山くんと言い合いして口を結んでたその人の顔は
信号の赤にそめられて…少し寂しげな表情で…
フーっとため息をついて続けた…
『あの子らなんだかんだ言っても社会人やんか…アホな事ばっかりしてるけどやっぱりどっか私より全然大人やし…別に早く大人になる事がいい事やと思ってるわけじゃないけどあの子ら見てたら今私ができる事を限界までしてみたいって思うようになってん背伸びしてでも得られるもんはあると思うねん…無理はするつもりないけどなー』
背伸び…か…
『周りからしたら無理してるように見えても自分の限界って人が思うより自分が思うよりもっと出せるもんやと思うねんやん…そう思わん?それがどんな風に見えても私が満足してるのがベストやと思うし一人暮らしするくらいで…ヨコ大げさやなー…』
この人…何の為に俺呼んだんやろう…
早く話し切り上げる為だけじゃないんやろか…
『でも…俺…あのー…さんを心配してる必死な横山くん大好きですよ…』
『えー?なんでー?でもありがとう…無事に一人暮らしできたら信五とすばると来てーな!』
なんでそんな事言ったんかは分からんけど二人がうまくいってほしいと思った
それは今でも思ってる
背伸びしてても良いと言った唯一の人や
がおったから俺のコンプレックスも俺の糧にしてやってこれた
だから…
嘘ばっかりの笑顔で黄色いマグカップにコーヒーを注いでる
…そんな顔せんとってほしい
20091214再