渋谷すばるを語るのにかかせん奴が3人いてる…

俺は普通の大阪人や…

他のやつらかて普通の大阪人や…

あんまりチヤホヤされたら…

よーついて行かん…

あの頃はまだ若かったしあれやらなアカンこれやらなアカン言われたら余計にできんかった…

目の前にある物に追いついてるのに手が出んかった

東京の風はいつも冷たくて

慣れ親しんだ大阪を出て行くにはまだ俺らは幼すぎた…

ヒナは意外と平気そうな顔をしてた

でもあいつみたいに大阪色を変えれん奴には

世間は冷たい…

出しきるにはあまりにも無力で

きっと影ではその無力さに落胆したと思う

ヨコは我慢するタイプや…

自分の立場をよう分かっててホンマは嫌な事やのに

限界まで我慢できる奴や…

でも我慢が顔に出るから何も知らん奴はヨコをただの大阪のヤンキーやとか言いよった

嫌やったと思う

俺は―――

大阪色も突き通せん我慢もできん中途半端な奴で

悔しくて逃げ出した…

聞きたくない事ばっかり聞こえて

耳を塞いでも活字になって見えてくる…

目を閉じたらそこは孤独やった

でもその孤独があの頃の俺には心地よくて…

ヒナやヨコとも連絡をとらんと毎晩知らん女を捕まえては適当にやり過ごした…

ちょっとテレビに出てるからって声かけたらすぐについてくる…アホちゃうか…って思いながら…

脳の中を香水と煙草の臭いで侵してひたすら現実から目を背けてた

そんな日が1ヶ月ほど続いた…

ある日俺が久し振りに自分の家で寝てたら携帯が鳴った

____着信

またか…

そいつは1年程前知り合った学校での村上、ヨコ以外の唯一の友達…

村上やヨコからの電話もしょっちゅう電話がきたけど

今話したら…アカン…

アカンようになってしまう…

無視しよう…

ごめんな…

怒ってるやろなー…

『すーばーるーくぅーん』

はぁ?

びっくりして飛び上がった俺は

窓を開けた

そこにはこっちに笑顔を向けて手を振るがいて

『あっそびましょーーー♪』

なっ…なんじゃそりゃ…

もし窓を開けた時が真剣な顔してたりしたら

多分追い返してたと思う…

俺は気付いたらパジャマのままおかんのつっかけひっかけて

の元へと走ってた…

うまく言葉にできひん気持ちが

どこにぶつけたら良いか迷ってたモヤモヤが

頭の中に常にあった責任が

『会いたかったー… すばるは一人やないで信五もヨコも…私も一緒や』

の一言で一瞬のうちに吹っ飛んで

気がついたらを抱きしめてた…つぶれてしまうんちゃうかなって程抱きしめてた…

の肩越しに霞んで見えたヒナとヨコは少し大人な顔して微笑んでた…

それからも突然歌えんようになったら

歌えるようになるまで待ってくれる奴がおる事

悔しくて涙を流してしまったら

そっぽ向いて肩を叩いてくれる奴がおる事

冷たい風に吹かれたら

寒さを一緒に分かち合ってくれる奴がおる事

言葉にしたら安っぽいけど

いつか俺もあいつらのそんな存在になりたいと思えるようになって

今はこれが本物なんやなって思う

俺…幸せ者や

ありがとう…なっ


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20091214再